2006年 07月 30日
チベット砂曼荼羅ライブパフォーマンス 2006 - 大本山 護国寺
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昨日は文京区にある大本山護国寺で10日間に渡って行われていた「チベット砂曼荼羅ライブパフォーマンス 2006」の最終日。16:00~18:00頃のクロージング・セレモニーに行けば、砂曼荼羅を川に流す儀式などを見れた様なのですが、夕方は沼袋の百観音明治寺で献灯会とジャワ・ガムランの催しに行く予定にしていたので、こちらは日中に行ってみました。
参考:静謐な世界に嘆息 チベット仏教「砂曼荼羅」制作 - SankeiWeb('06/07/27)
Buddhist Art and Ritual from Nepal and Tibet - 2001 Ackland Art Museum
宮島大聖院弥勒プロジェクト2002 -
チベット砂曼荼羅やバター彫刻について
砂曼荼羅を作成している台は1.5mX1.5mくらいでしょうか。2名のチベット僧侶が、長さ20蚊ら30cmほどの砂が入った細長い円錐形の道具を、別の棒でギッギッと擦り振動させて砂を落として行きます。最終日だったので殆ど完成している感じなのでしょうか。割とリラックスして作業していた様に見える周りにはロープが張ってあるのですが、それでも50~60cmほど近くからその細かさを見ることが出来ました。
チベットの方でしょうか、男性がとても詳しく曼荼羅のことやチベット仏教のことを説明して下さっていて、それに聞き入りながらジッと創作に見入る大勢の人が台を囲んでいます。あれだけ人に囲まれていると集中するのは難しいんじゃないかと思ったりしたんですが、修行を積んだお坊さんですから雑音に惑わされることなんてないんですよね、きっと。
今回は観音菩薩曼荼羅ということで、大理石を細かく砕いて着色したものとのこと。脇に色砂が入ったガラスの小鉢が20色くらい並んでいました。
"高価な砂曼荼羅ではルビーなどの宝石などをすり潰して作られるのだが、現在のチベットの状況などを考えると伝統的な素材を得ることが極めて困難である。中国によるチベット支配は砂曼荼羅の素材にまで影響している。チベットにはやく完全な自治が実現されないかぎり、この美しい砂曼荼羅の文化さえ滅びてしまう危険性があることを痛感させられる"気の遠くなる様な緻密な作業で、まさに崇高な芸術。日本でよく見る曼荼羅の様に仏様がびっしりと書かれているのではなく、シンボルとして表されている様です。そして鮮やか。最後のほうしか説明を聞けなかったのですが、チベット曼荼羅というのはそうなんでしょうか。
- 文殊師利大乗仏教会HP 観自在菩薩曼荼羅制作より
これだけ丹念に作り上げた砂曼荼羅を、儀式後は壊してまた砂に戻して川に流すそうです。出来上がった砂曼荼羅は"目に見えるもの"に過ぎず、僧侶が浄土を体現して目に見える曼荼羅を描いていくというその過程自体、僧侶の心の祈りや悟りなど"目に見えないもの"(私達には僧侶が砂曼荼羅を制作している姿は見えますが)も大きな意味があるのかな、と思いながら眺めていました。
あぁ、大失敗です。やっぱり「無」に戻す瞬間に立ち会うべきでした・・・。
チベットの僧侶を間近で見たのは初めてだったのですが、何て言うんでしょうか。とても男性らしいですね(あぁ、俗っぽい言い方でしか表現出来なくてスミマセン)。いや、色っぽいとかではなくて、力強い感じがするというんでしょうか。
会場に小さな男の子がいて、人懐っこいその子は持っていたオペラグラスを制作から離れている若い僧侶に渡して見せてみたり、僧侶はそれを覗き込んで見たりしていたんです。床に座り込んでいる僧侶が「ここに座って」と、男の子を手で招いたり、何か紙片に書いて男の子に渡したり、何か書いてもらおうと男の子にその紙片とペンを渡したり、砂絵を描く道具を「やってみる?」と言う感じに渡してみたり・・・当然、男の子は意思疎通する手段が判らないんですが、僧侶は何とかコミュニケーションしようとしている、そんな二人のやり取りを見ていて、僧侶の素朴な素顔を見た気がしました。何だか心が温まって笑顔になってしまう光景でした。
それからもう1つ素晴らしくて私が感動したのは、会場に展示されていた護国寺所蔵の絹刺繍「金剛界曼荼羅」と「胎蔵界曼荼羅」。これは本当に綺麗で素晴らしく、その場を去り難いと思うほど見とれてしまいました。
砂曼荼羅の会場内は残念ながら撮影禁止だったのですが、入り口脇でのバター彫刻の実演は撮影可。日本におけるバター彫刻の制作は今回が初めての試みとのことでした。
こちらも本当に細かくて綺麗。そして色が乳白色に色を着けた感じなので可憐な感じです。
バター彫刻は本尊への供物として作成されるものということで、着色したバターで出来ています。チベットでは供物として寺に飾り、儀式の後は食べてしまう様ですが、何と勿体無い(笑)。バリ島でも儀式の際のお供え物は、それはそれは細かくて芸術的ですが、宗教と芸術・創作は一つなんだなぁとつくづく思います。
何だかチベット仏教に興味が出てきました。
会場で頂いたチラシやダライ・ラマ法王日本代表部事務所のHPにあったのですが、8月にチベット医学と占星術の講演と個人相談がある様です。あぁ、何と会場の新宿・常圓寺は私の家から歩いて7、8分じゃないですか(笑)。行ってしまおうかなぁ・・・。
・医学講演「チベット伝統医学の診断法と治療法」
日 時:8月12日(土)14:00~16:00
会 場:新宿・常圓寺(地下ホール)
参加費:一般/¥3,000 チベットハウス会員/¥2,500
・占星術講演 「チベット独自の暦」
日 時:8月19日(土)14:00~16:00
会 場:新宿・常圓寺(地下ホール)
参加費:一般/¥3,000 チベットハウス会員/¥2,500
・チベット医学とチベット占星術 個人相談
日 時:8月13日(日)~18日(金)・20日(日)
会 場:ダライ・ラマ法王日本代表部事務所(チベットハウス)
東京都新宿区新宿5-11-30 第五葉山ビル5階
料 金:[医学個人診断] 30分 ¥5,000
[占星術個人鑑定]40分 ¥10,000
申込先:TEL.03-3353-4094(チベットハウス)
チベット独自の暦というのに興味シンシンです。バリ島独自の暦の意味、仕組み、それぞれの日の意味合いなどを知った時に、暦を通して随分と色々なことを知る事が出来たので、生活や宗教に密接している暦って面白いんです。グレゴリオ暦のお陰で暦は単なる日々のカウントになってしまったのかなぁと個人的には感じるんですが、チベット暦はどんななんでしょう。
声明(しょうみょう)も、クロージング・セレモニーも参加しなかったですけれど、本当に見に行って良かったです。次回またどこかで砂曼荼羅制作を見る機会があったら、今度は「無」から始まって「無」に帰るところまで見てみたいです。
by sohla
| 2006-07-30 23:48
| みる・きく・かんがえる
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