2010年 03月 07日
都民芸術フェスティバル2010 - 第41回 東京都民俗芸能大会
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1月から行われている「都民芸術フェスティバル2010」。今日は池袋・東京芸術劇場で行われた第41回 東京都民俗芸能大会「宝年満作-ゆたかな稔りを願って-」1日目を観に行って来ました。
この民俗芸能大会は昨日3/6(土)と7(日)の2日間で事前申し込みが必要で、確か2月中旬が応募締め切りだったのだけれど、日にちを勘違いして締め切り過ぎて応募してしまった(笑)。後で気が付いてダメだろうな~と思っていたら、寸前の一昨日だったか3/6の入場OKの葉書が来てました。ふふ、ありがとうございました。
2、3年前に新宿歴史博物館で行われた歴史講座Ⅰ「民俗芸能鑑賞入門講座」で、芸能史研究の第一人者である三隅治雄先生の話を聞いて「民俗芸能って面白いな~」と思ったのがきっかけで、それほど貪欲にではないけれど、お祭りに行って里神楽をやると言えば観てみたり、お囃子を聴いたりしてたんです。なので、今回も色々な民俗芸能が見れるから面白いだろうな~と思って応募したんです。その三隅先生は、この東京都民俗芸能大会実行委員会の委員長をされていて、開演に当たってご挨拶をされてました。
1日目のプログラムは、
民俗芸能って、ただ漫然と見たり聞いたりしててもある種の雰囲気を楽しめるのだけれど、歴史や変遷、背景やルーツ、特徴的な場面や様式などを聞くと、これが結構奥が深くて面白いんですよね。でも、使われている言葉も聞き慣れないし、そもそも歴史とか神話、民俗自体に不勉強なので、「あれはどーいう意味があるのかなぁ」とか「手にしているアレは何だろう?」とか「あれは象徴か何かなのかなぁ」とか、正直チンプンカンプンだったりもするんですけれども。でも、演目の前に民俗芸能に詳しい方々がちょっとしたポイントなども解説をして下さったので、それを聞き、手渡されたプログラムの説明を読みながら、「ほほぅ」と食い入るように観てました。因みに、前から4列目ぐらいに座ったので結構間近で見れました(笑)。
始まる前は、結構単調な音色とかあるので途中で寝てしまうかも?と思ったりもしたんですけれど、それぞれ見ごたえがあって、「あれは何だ?」とか「次は何する?」とか「あの人の役は何だ?」などと興味津々で観ていたので大丈夫でした(笑)。途中15分の休憩をはさんで、合計約3時間くらいだったでしょうか。
冒頭の三隅先生の挨拶で、「現代は経済と言えばお金だけれど、昔は米が国を支えていて、'どうか来年も稲が豊かに実りますように'と人々は五穀豊穣を願い、もちろん神事や特別な時には米はなくてはならないもので宝物だった。今日演じられる田楽も獅子舞も五人囃子などの芸能も豊年満作を祈るもの」といったようなお話しをされてました。
そうなんですよねぇ。農家は雑穀を食べながら米を収穫し年貢を納めたり献上したり、土地の生産力を換算するのは石高(ごくだか)だったり、そして祭りや宗教(神道)で米を供える・・・本当に日本人の生活、文化と密接に関係していて、ただ単に米が主食だから'お米の国'というわけじゃなかったのだよな~ということを思い出させてくれた感じです。小さな集落や地域に途切れることなく継承され続けて来たこういった芸能を見ていると、貨幣経済に移り変わって以降、お米の魂もどこかに置き忘れて来てしまったのだな~と思ったり。でも、社会を覆う貨幣という皮を引っ剥がすと、そこにはちゃんと文化としてのお米も確実にあるのだなとも。
私は三社祭に行ったことがないのだけれど、この東京都指定無形文化財の浅草神社神事びんざさらはまるで別世界へ連れて行かれてしまったようにボ~ッと観てしまいました。
効果音のようなびんざさらの音と、摺り鼓の儚い音、民俗芸能というには豪華な衣装に深く被った独特な笠・・・意味やわけがわからなくても視覚的にも惹きつけられる何とも不思議な感覚。踊り手が会場の後ろから登場し、観客の間を通って舞台へ上がって行く演出だったので、通路側に座っていた私は笠の中を下から覗き込めるほど(笑)間近で見れてラッキーでした。
「大宮前里神楽の神田種蒔」(しんでんたねまき)は、狐とモドキ(ひょっとこみたいな滑稽役)のやり取りが、台詞はないのに可笑しいし、「柳原箕輪ばやし」はカラッとしたお囃子のリズムは冬でも「祭りだ~!」とワクワクしてくるし、「人里(へんぼり)獅子舞」の演目'大太刀'は檜原村の集落で見たらいいだろうな~とか、全ての演目をやると3~4時間位かかってしまうという国の重要無形文化財である「赤塚の田遊び」は、1年間の稲作の手順を演じて、言葉と所作によって表現しているようなのだけれど、何しろ視覚的にわかり易いというよりは稲作の1年みたいなストーリーだからか(笑)、象徴的なものもあるからかちょっと解り難い、でも何となく可笑しくて淡々と事が進んで行く感じ。
ふぅ、何だかんだ言って約3時間、ちょっとお尻がモゾモゾして来たけれど、ちゃんと最後まで観てしまいました。
東京芸術劇場も初めて行ったんですけれど、結構賑わってるんですね。都民芸術フェスティバルはオーケストラとかバレエや日本舞踊、オペラや能楽など他の公演は結構なお値段を取っているのに、この民俗芸能は無料(笑)。芸能保存の為に少しばかり入場料を取ってもいいのではないかな~なんて思ったんですけれどもね。
やっぱりこういった民俗芸能は今後も保存して行って欲しいけれど、関わっている方々はこれが専業ではないでしょうから、途切れずに継承して行くのは本当に苦労があると思うんです。こうやって色々な芸術の中の1つとして民俗芸能を入れてくれるのはいいですね。地域に伝わる芸能を紹介してくれる機会を設けてくれると、色々な興味が湧いてくるし、その土地をもっと身近に感じたり、実際に訪ねて行ったりしたくなりますし。お客さんはやはり年齢層が高めだったけれど、子供たちに見てもらうのもいいのではないかな。意味は解らなくても映像や雰囲気がイメージとして心のどこかに残るでしょうし、「そういえば子供の頃にそんなの見た覚えがあるな~」と大人になって思い出すだけでも随分と違うのではないかと思うんです。
この民俗芸能大会は昨日3/6(土)と7(日)の2日間で事前申し込みが必要で、確か2月中旬が応募締め切りだったのだけれど、日にちを勘違いして締め切り過ぎて応募してしまった(笑)。後で気が付いてダメだろうな~と思っていたら、寸前の一昨日だったか3/6の入場OKの葉書が来てました。ふふ、ありがとうございました。
2、3年前に新宿歴史博物館で行われた歴史講座Ⅰ「民俗芸能鑑賞入門講座」で、芸能史研究の第一人者である三隅治雄先生の話を聞いて「民俗芸能って面白いな~」と思ったのがきっかけで、それほど貪欲にではないけれど、お祭りに行って里神楽をやると言えば観てみたり、お囃子を聴いたりしてたんです。なので、今回も色々な民俗芸能が見れるから面白いだろうな~と思って応募したんです。その三隅先生は、この東京都民俗芸能大会実行委員会の委員長をされていて、開演に当たってご挨拶をされてました。
1日目のプログラムは、
・柳原箕輪ばやし(柳原箕輪囃子連)
・人里の獅子舞(五社神社奉賛会)
・浅草神社のびんざさら(神事びんざさら会)
・里神楽「神田種蒔」(大宮前郷土芸能保存会)
・赤塚の田遊び(赤塚諏訪神社田遊び保存会)
民俗芸能って、ただ漫然と見たり聞いたりしててもある種の雰囲気を楽しめるのだけれど、歴史や変遷、背景やルーツ、特徴的な場面や様式などを聞くと、これが結構奥が深くて面白いんですよね。でも、使われている言葉も聞き慣れないし、そもそも歴史とか神話、民俗自体に不勉強なので、「あれはどーいう意味があるのかなぁ」とか「手にしているアレは何だろう?」とか「あれは象徴か何かなのかなぁ」とか、正直チンプンカンプンだったりもするんですけれども。でも、演目の前に民俗芸能に詳しい方々がちょっとしたポイントなども解説をして下さったので、それを聞き、手渡されたプログラムの説明を読みながら、「ほほぅ」と食い入るように観てました。因みに、前から4列目ぐらいに座ったので結構間近で見れました(笑)。
始まる前は、結構単調な音色とかあるので途中で寝てしまうかも?と思ったりもしたんですけれど、それぞれ見ごたえがあって、「あれは何だ?」とか「次は何する?」とか「あの人の役は何だ?」などと興味津々で観ていたので大丈夫でした(笑)。途中15分の休憩をはさんで、合計約3時間くらいだったでしょうか。
冒頭の三隅先生の挨拶で、「現代は経済と言えばお金だけれど、昔は米が国を支えていて、'どうか来年も稲が豊かに実りますように'と人々は五穀豊穣を願い、もちろん神事や特別な時には米はなくてはならないもので宝物だった。今日演じられる田楽も獅子舞も五人囃子などの芸能も豊年満作を祈るもの」といったようなお話しをされてました。
そうなんですよねぇ。農家は雑穀を食べながら米を収穫し年貢を納めたり献上したり、土地の生産力を換算するのは石高(ごくだか)だったり、そして祭りや宗教(神道)で米を供える・・・本当に日本人の生活、文化と密接に関係していて、ただ単に米が主食だから'お米の国'というわけじゃなかったのだよな~ということを思い出させてくれた感じです。小さな集落や地域に途切れることなく継承され続けて来たこういった芸能を見ていると、貨幣経済に移り変わって以降、お米の魂もどこかに置き忘れて来てしまったのだな~と思ったり。でも、社会を覆う貨幣という皮を引っ剥がすと、そこにはちゃんと文化としてのお米も確実にあるのだなとも。
私は三社祭に行ったことがないのだけれど、この東京都指定無形文化財の浅草神社神事びんざさらはまるで別世界へ連れて行かれてしまったようにボ~ッと観てしまいました。
効果音のようなびんざさらの音と、摺り鼓の儚い音、民俗芸能というには豪華な衣装に深く被った独特な笠・・・意味やわけがわからなくても視覚的にも惹きつけられる何とも不思議な感覚。踊り手が会場の後ろから登場し、観客の間を通って舞台へ上がって行く演出だったので、通路側に座っていた私は笠の中を下から覗き込めるほど(笑)間近で見れてラッキーでした。
「大宮前里神楽の神田種蒔」(しんでんたねまき)は、狐とモドキ(ひょっとこみたいな滑稽役)のやり取りが、台詞はないのに可笑しいし、「柳原箕輪ばやし」はカラッとしたお囃子のリズムは冬でも「祭りだ~!」とワクワクしてくるし、「人里(へんぼり)獅子舞」の演目'大太刀'は檜原村の集落で見たらいいだろうな~とか、全ての演目をやると3~4時間位かかってしまうという国の重要無形文化財である「赤塚の田遊び」は、1年間の稲作の手順を演じて、言葉と所作によって表現しているようなのだけれど、何しろ視覚的にわかり易いというよりは稲作の1年みたいなストーリーだからか(笑)、象徴的なものもあるからかちょっと解り難い、でも何となく可笑しくて淡々と事が進んで行く感じ。
ふぅ、何だかんだ言って約3時間、ちょっとお尻がモゾモゾして来たけれど、ちゃんと最後まで観てしまいました。
東京芸術劇場も初めて行ったんですけれど、結構賑わってるんですね。都民芸術フェスティバルはオーケストラとかバレエや日本舞踊、オペラや能楽など他の公演は結構なお値段を取っているのに、この民俗芸能は無料(笑)。芸能保存の為に少しばかり入場料を取ってもいいのではないかな~なんて思ったんですけれどもね。
やっぱりこういった民俗芸能は今後も保存して行って欲しいけれど、関わっている方々はこれが専業ではないでしょうから、途切れずに継承して行くのは本当に苦労があると思うんです。こうやって色々な芸術の中の1つとして民俗芸能を入れてくれるのはいいですね。地域に伝わる芸能を紹介してくれる機会を設けてくれると、色々な興味が湧いてくるし、その土地をもっと身近に感じたり、実際に訪ねて行ったりしたくなりますし。お客さんはやはり年齢層が高めだったけれど、子供たちに見てもらうのもいいのではないかな。意味は解らなくても映像や雰囲気がイメージとして心のどこかに残るでしょうし、「そういえば子供の頃にそんなの見た覚えがあるな~」と大人になって思い出すだけでも随分と違うのではないかと思うんです。
by sohla
| 2010-03-07 01:22
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