2008年 10月 30日
「煙草を頂けませんか?」と聞かれたら
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ココでも書いたんですけれど、TMT2F喫煙所奥には3人掛けと2人掛けのソファがあって、広々とした芝生のガーデンを見下ろしながら、なかなかまったりとくつろげる場所。
その日もいつもの様にまったりと煙草を吸いながら本を読んでました。3人掛けの右端に私、そして真ん中に中年男性、左端に比較的若い男性、向かい側の2人掛けの左には60歳台と思われるオバさん、右側には中年男性。勿論、それぞれ赤の他人で思い思いに煙草を吸ったり、ボ~ッとしたり、携帯いじったり、私の様に本を読んだり。
すると、
私から見て向かい側左手のオバさんが、正面に座っている若い男性に、10円玉と思われる小銭を差し出しながら、「煙草を2本譲ってもらえますか?」って言うんです。それもコソッと言うのではなく、耳がちょっと遠いのかな?オバさん特有の大声なのかな?と思うほど、ハッキリと大きな声で。私が「何だ何だ?」と顔を上げてそちらを見た時には、オバさんは若者の前に既に立って、小銭を持った手を差し出して恥ずかしそうというより堂々としてニコニコ。
これ、凄く珍しい光景かも。
喫煙所で「火を貸して頂けますか?」って見ず知らずの人から言われることは、まぁ時々あるんです。でも、見ず知らずの人からいきなり「煙草を下さい」って言われるのは、私は少なくとも日本では見たことなかった。それも、「2本」と来たもんですし(笑)。
あの時、ソファーに座っていた人も、離れたところに立っていた人達も、恐らく「このオバはん、ちょっとオカシイ人かも・・・」とか「ホームレスか?」と思ったと思うんですよ。まったりとした空気が、みんなの「エッ?」という暗黙のエネルギーで一瞬凍りついたって感じでしたから。私も「このオバさんは単に気さくな人なのか?それともマトモじゃないのか?」って、しばし観察しつつ、その若いお兄さんはどうするんだろう?と目をやると、
お兄さん:「いえ、出来ません」 ←(キッパリ拒絶)
オバさん:「えっ・・・」 ←(拒絶されると思わなかった様子)
お兄さん:「ちょっと、違う煙草を吸ってるんで・・・」 ←(苦しい言い訳)
オバさん:「・・・煙草を2本ほど頂けないでしょうか?」 ←(負けずに他を見渡して言う)
ふむ、こういう時の人々のリアクションって面白い。ソファーに座っていた人、断った若いお兄さんも含めて、オバさんの2度目のダメ押しのお願いを聞いて一斉に顔を伏せる、知らんぷりをする、聞こえない振りをする~ッ。あの、電車でお年寄りが前に立った時に、座っている人が寝たふりするのと同じって感じでしょうか。
そんな成り行きを顔を上げて見ていて目が合ったのと、近くにいる女性が私だけだったのもあったのか、オバさんは私の側に来て「お金は払いますから・・・」とまた小銭を差し出しながら同じことを言うんですね。実は、私は先ほどキッパリ拒絶したお兄さんが恐らく警戒したのとは反対で、好意的と言うと言い過ぎですけど、足元を見るとちゃんと(オバちゃん靴っぽいけど)綺麗な靴を履いている、口紅を塗ってお化粧もしている、これと言って怪しいなりでもない(確かに行いは怪しいかもだけれど)、もしかしたらこうやって小銭を出して'もらい煙草'をする常習かもしれないけれど、少なくともホームレスとか物乞いではないだろうと思ったので、「そうか、お兄さんは拒絶したか。別に煙草の1本や2本、その後絡んで来なければ私はあげてもいいよ」ってなオーラが出てたんでしょうかね。
私:「お金は要らないですよ。何の煙草でもいいですよね」と2本差し出して一件落着。物乞いではないだろうと見た私からすると、「嫌です」と断る理由も嫌悪感もなかっただけのことなんですけど、お兄さんみたいにキッパリと断るのも勇気が要るよなぁと思ったり。
以前、インドネシア・スラウェシ島のとある田舎で、たまたま通り掛かったお葬式の準備をしている広場で、大勢の村人達が竹で簡易建物を建てているのを眺めていたら、1人の男がいきなりツカツカと私に近寄って来てニヤニヤしながら「煙草ある?」って聞くんですよね。これはもう物乞いと同じなんですけれど、多分外国人観光客だからくれると思ったのか、私のウェストバッグの網ポケットに入っているマルボロが見えたのか、だと思うんですけれど。その時は即座に「持ってない」と冷たくあしらった私。勿論、通りすがりでも、道端でも、今たまたま出遭っただけでも、何か世間話やら会話やら意志の疎通があって、私が一服しようと思うときに、相手が吸おうと吸うまいと一応「煙草吸う?」と自分の煙草を勧める、ってことは良くあることなので、相手が知ってる人だろうと知らない人だろうと、それは余り関係ないんですけれどね。
でもオバちゃん。最近は毒入りの食べ物とかあるから、貰い煙草も気をつけないとね。それに、チラッと見たところ差し出していた小銭は、多分2、30円ってところ。それじゃぁ良くて1本分にしかならないのよね。ま、タダでクレと手を出すよりはいいけれど、それで「2本頂戴」はね、細かく言うと(笑)。あ、そうか。「オバちゃん、いくら持ってるの?あぁ、それじゃぁ今日のとこは1本分だな~」って会話しても良かったかも。
私より先に席を立ったオバちゃんが私の前を通り過ぎる時、「ご親切な奥様(!?)、ありがとうございました。1本吸って、あと1本は後で吸おうと取ってあるんです」って言ってニコニコして去って行きました。「あ、いいえ~」と微笑んだものの、あぁやってあちこちで同じことしてるんだろうか?それともたまたま煙草を切らしてたんだろうか?とか、拒絶するのもお兄さん冷たくない?とか、私は人が良過ぎただけ?とか、あのスラウェシ島で断ったのと何が違うんだろう?とか色々思ったりして。まぁ、本当は見ず知らずの人と煙草をあげたり貰ったり、そのくらいのひょんなやり取りがあっても警戒しない世の中のがいいですよね。通りすがりの人と接触を持ったり言葉を交わすのに警戒感が先に立つってのも悲しいもんです。
ふむ。でもやっぱりこのオバちゃん、今時のコミュニケーションが希薄な都会の中では、ちょっと変ってるには違いない・・・ですよね。
その日もいつもの様にまったりと煙草を吸いながら本を読んでました。3人掛けの右端に私、そして真ん中に中年男性、左端に比較的若い男性、向かい側の2人掛けの左には60歳台と思われるオバさん、右側には中年男性。勿論、それぞれ赤の他人で思い思いに煙草を吸ったり、ボ~ッとしたり、携帯いじったり、私の様に本を読んだり。
すると、
私から見て向かい側左手のオバさんが、正面に座っている若い男性に、10円玉と思われる小銭を差し出しながら、「煙草を2本譲ってもらえますか?」って言うんです。それもコソッと言うのではなく、耳がちょっと遠いのかな?オバさん特有の大声なのかな?と思うほど、ハッキリと大きな声で。私が「何だ何だ?」と顔を上げてそちらを見た時には、オバさんは若者の前に既に立って、小銭を持った手を差し出して恥ずかしそうというより堂々としてニコニコ。
これ、凄く珍しい光景かも。
喫煙所で「火を貸して頂けますか?」って見ず知らずの人から言われることは、まぁ時々あるんです。でも、見ず知らずの人からいきなり「煙草を下さい」って言われるのは、私は少なくとも日本では見たことなかった。それも、「2本」と来たもんですし(笑)。
あの時、ソファーに座っていた人も、離れたところに立っていた人達も、恐らく「このオバはん、ちょっとオカシイ人かも・・・」とか「ホームレスか?」と思ったと思うんですよ。まったりとした空気が、みんなの「エッ?」という暗黙のエネルギーで一瞬凍りついたって感じでしたから。私も「このオバさんは単に気さくな人なのか?それともマトモじゃないのか?」って、しばし観察しつつ、その若いお兄さんはどうするんだろう?と目をやると、
お兄さん:「いえ、出来ません」 ←(キッパリ拒絶)
オバさん:「えっ・・・」 ←(拒絶されると思わなかった様子)
お兄さん:「ちょっと、違う煙草を吸ってるんで・・・」 ←(苦しい言い訳)
オバさん:「・・・煙草を2本ほど頂けないでしょうか?」 ←(負けずに他を見渡して言う)
ふむ、こういう時の人々のリアクションって面白い。ソファーに座っていた人、断った若いお兄さんも含めて、オバさんの2度目のダメ押しのお願いを聞いて一斉に顔を伏せる、知らんぷりをする、聞こえない振りをする~ッ。あの、電車でお年寄りが前に立った時に、座っている人が寝たふりするのと同じって感じでしょうか。
そんな成り行きを顔を上げて見ていて目が合ったのと、近くにいる女性が私だけだったのもあったのか、オバさんは私の側に来て「お金は払いますから・・・」とまた小銭を差し出しながら同じことを言うんですね。実は、私は先ほどキッパリ拒絶したお兄さんが恐らく警戒したのとは反対で、好意的と言うと言い過ぎですけど、足元を見るとちゃんと(オバちゃん靴っぽいけど)綺麗な靴を履いている、口紅を塗ってお化粧もしている、これと言って怪しいなりでもない(確かに行いは怪しいかもだけれど)、もしかしたらこうやって小銭を出して'もらい煙草'をする常習かもしれないけれど、少なくともホームレスとか物乞いではないだろうと思ったので、「そうか、お兄さんは拒絶したか。別に煙草の1本や2本、その後絡んで来なければ私はあげてもいいよ」ってなオーラが出てたんでしょうかね。
私:「お金は要らないですよ。何の煙草でもいいですよね」と2本差し出して一件落着。物乞いではないだろうと見た私からすると、「嫌です」と断る理由も嫌悪感もなかっただけのことなんですけど、お兄さんみたいにキッパリと断るのも勇気が要るよなぁと思ったり。
以前、インドネシア・スラウェシ島のとある田舎で、たまたま通り掛かったお葬式の準備をしている広場で、大勢の村人達が竹で簡易建物を建てているのを眺めていたら、1人の男がいきなりツカツカと私に近寄って来てニヤニヤしながら「煙草ある?」って聞くんですよね。これはもう物乞いと同じなんですけれど、多分外国人観光客だからくれると思ったのか、私のウェストバッグの網ポケットに入っているマルボロが見えたのか、だと思うんですけれど。その時は即座に「持ってない」と冷たくあしらった私。勿論、通りすがりでも、道端でも、今たまたま出遭っただけでも、何か世間話やら会話やら意志の疎通があって、私が一服しようと思うときに、相手が吸おうと吸うまいと一応「煙草吸う?」と自分の煙草を勧める、ってことは良くあることなので、相手が知ってる人だろうと知らない人だろうと、それは余り関係ないんですけれどね。
でもオバちゃん。最近は毒入りの食べ物とかあるから、貰い煙草も気をつけないとね。それに、チラッと見たところ差し出していた小銭は、多分2、30円ってところ。それじゃぁ良くて1本分にしかならないのよね。ま、タダでクレと手を出すよりはいいけれど、それで「2本頂戴」はね、細かく言うと(笑)。あ、そうか。「オバちゃん、いくら持ってるの?あぁ、それじゃぁ今日のとこは1本分だな~」って会話しても良かったかも。
私より先に席を立ったオバちゃんが私の前を通り過ぎる時、「ご親切な奥様(!?)、ありがとうございました。1本吸って、あと1本は後で吸おうと取ってあるんです」って言ってニコニコして去って行きました。「あ、いいえ~」と微笑んだものの、あぁやってあちこちで同じことしてるんだろうか?それともたまたま煙草を切らしてたんだろうか?とか、拒絶するのもお兄さん冷たくない?とか、私は人が良過ぎただけ?とか、あのスラウェシ島で断ったのと何が違うんだろう?とか色々思ったりして。まぁ、本当は見ず知らずの人と煙草をあげたり貰ったり、そのくらいのひょんなやり取りがあっても警戒しない世の中のがいいですよね。通りすがりの人と接触を持ったり言葉を交わすのに警戒感が先に立つってのも悲しいもんです。
ふむ。でもやっぱりこのオバちゃん、今時のコミュニケーションが希薄な都会の中では、ちょっと変ってるには違いない・・・ですよね。
by sohla
| 2008-10-30 22:05
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